妖怪醤油漬けのはなし
妖怪っていうのは古今東西いろんなやつがいるけれど、こいつはこわくないよ、まっことやさしい妖怪なんだ。
春が終わって木の葉が青々しげりだす頃、そうだね、いまくらいの時期さ。まっぴるまに玄関のドアが突然ガチャッとひらいたなと思うと「ばさっ」って音がする。
なんだなんだと出ていくともうだ~れもいない。そこには一抱えのしその葉っぱが置かれているんだ。うん、しそじゃなくてエゴマの葉っぱのときもあるね。
まあどちらにせよ、家の人は困るわけだよ、突然一抱えの葉っぱだもんね。それも枝つきだよ。薬味に使うにしては多すぎるし、一枚一枚ちぎってジェノベーゼを仕込むにしても忙しくって時間がない。それでどうするかっていうと、見てみなかったふりをするわけだ。それでその日は玄関にしその葉がそのままになっているわけだけれど、夜、家の人が寝静まった頃になると、台所でぷちっぷちっと枝から葉っぱをもぐ音がする。ふと目が覚めてそ~とのぞいてみれば、いちまい、もういちまい…、としそを醤油に漬けこんでいる妖怪醤油漬けがいたんだ。
下手に刺激をして醬油漬けが途中で終わってしまっちゃ大変だとそのまま部屋に戻って寝て、朝起きてみると、玄関のしそはなくなって、冷蔵庫にはきれいに重ねられたしその醤油漬けができていたってわけだ。
いやあ、これは助かるね。それでまたこの醤油漬けがうまいのなんのって。にんにくすりおろしと唐辛子とごま油も入っているのか、こじゃれているね。ごはんにのっけたれば1杯2杯軽く食べてしまって、納豆ご飯にも合う。卵かけご飯にも合う。あっという間になくなっちまう。最後に残った汁もラー油みたいで、そうめんにかけたらすぐになくなっちゃった。
また来てくれないかな。妖怪醬油漬け。しそもえごまも畑にたんとあるから。 (照手)
*しそまたはエゴマの醬油漬け
(1)葉はさっと洗ってよく水けをきる。
(2)調味液に砂糖と酒を入れる場合は酒と砂糖を加熱してアルコール分を飛ばし、醤油、すりおろしにんにく、白ごま、ごま油、唐辛子を入れる。
(3)チャックつき保存袋に葉を入れて、液を加え、空気を抜いてチャックを閉める。翌日から食べられる。
◎チャックつき保存袋を使わないときは、液を皿などに入れて、葉1枚1枚に液をからめて広口の保存容器などに重ねておく。
パチンコと農業
ここ数年のあいだ、10年に一度の○○というニュースをたびたび目にしますが、今春においては、それが高温でした。
5月のうちにエダマメが収穫できたのは今までに一度もなかったですし、露地キュウリも5月のうちにセットに入れられたのは、営農を始めてから初でした。トウモロコシの収穫も、去年より一週間早いです。
就農して8年のあいだですっかり気候が変わってしまいまいした。それは温暖化による由々しき問題ではあるのですが、そのせいで年々作型や栽培方法を工夫せざるをえなくて、そういった工夫がうまくいっていい野菜(病虫害なく、良食味のもの)が収穫できた時なんかは脳汁が出るというか…競馬とかパチンコにハマる人も、きっとこんな感じなんでしょうね。
今年はネギの初夏どり(秋に小さな苗を植え、冬のあいだはトンネル密閉して保温し、ネギ坊主を作らせないという温暖地向けの作型)に挑戦しました。ここ数年の傾向から、温暖な冬であればこの作型も行けるのではとの仮説からです。
迎えた5月初旬、周りでネギ坊主が出る中、虫害が少なく良品のネギを出し続けられ、有機農家の先輩が「いいネギだ、ああいいネギだ」と言ってくれたのがうれしくてうれしくて…毎年変わる気候が刺激になっていてます。(友亮)

