
参院選を前に、あからさまな排外主義、女性蔑視発言を繰り返す参政党が「オーガニック」や「有機農業」という言葉を使いながら支持を伸ばしていると聞き、いてもたってもいられず、京都の自然食品店を営む「すみれや」さん、 「ナチュラルフーズ・ドングリ」さんらの声明に賛同しました。
ーーーーー以下声明ーーーーー
「限られた人のためのオーガニックは
私たちの目指す世界ではありません」
私たちはオーガニック食品に関わる仕事をしています。
それは一部の限られた人の特権としてのオーガニックではなく、おいしくて、安全で、できるだけ環境・社会負荷の少ない食材に〝誰しもがアクセスできる世界〟を目指した取り組みです。
私たちの町には外国籍を持った人や長期滞在の人もいれば留学生や旅行者、多種多様な外国ルーツの人々がいます。
国や民族、年齢、性別、経済的な状況、障害があるかないかなどにかかわらず、オーガニックの食材を手にしてほしいし、おいしいを共有したい。
オーガニックを広めたいというその根底には、既存の仕組みの中で犠牲になってきた小さな声を見逃さずに本当の意味で健全な世界にしたいという想いがあります。
それは誰かを排除したり、命に順番をつけるような世界への抵抗なのです。
オーガニックを掲げながらも「日本人ファースト」というストレートな差別発言を選挙活動を通じて広めている政党と私たちの思うオーガニックは根底の一番大切な部分が違います。
すべての生きとし生けるものに健やかな食と暮らしがいきわたることを目指すオーガニックをこれからも私たちは広め続けます。
ナチュラルフーズドングリ 赤塚瑠美(京都)
すみれや 春山文枝(京都)
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声明にもあるとおり、私たちも、自分や身近な人たち、あるいは「日本人」だけ、限られた人たちだけが“安心・安全”なものを食べるため、日々額に汗しているわけではありません。
私たちはたまたま今という時代に生きて、たまたまいる場所、環境に間借りさせてもらっているだけです。
そして、有機農業といっても、人が食べるための野菜をいただくため、人の都合で「害虫」を阻んだり、駆除したり、「雑草」を抜いたり刈ったりしています。
今ある環境をむやみやたらと壊さないよう、私たちのあとに続く、まだ生まれてすらいない、顔の見えない人たちにとっても、少しでもましな環境を残せたらと思っていますが、このやり方でいいのだろうか…という葛藤や妥協は常にあります。
「オーガニック」だからいいとか、有機農業がすべてを解決するとも思っていません。
現に、さまざまなかたちで営農する農家がいることで地域が成り立っています。
国のコロコロ変わる政策のなかで、農を生業として地域で生きていくために、試行錯誤しながら長年営んできた農家たちを「オーガニック」という言葉で分断するようなことも望みません。
また、農家であるということを脇においても、参政党が女性を子どもを産む/産まないで線引きし、国のためにたくさん産め産めと迫ってくることへ、強い憤りと恐怖を感じています。
どんな生き方であろうと、とやかく言われる筋合いはなく、この国に生きるすべての人をサポートするのが本来の政治家の役割だと思います。
分断や不安を煽り、苛立ちの矛先を、自分よりも弱い立場の人やマイノリティの人たちに向けることは間違っていると思います。(照手)