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みどりの通信 2025年4月号 ようやく、春/春の旅

ようやく、春

 雨がまったく降らない、寒い冬でした(幸い、心配していた雪の被害はありませんでした)。3月、毎日のように畑を見回っても、寒さと乾きで生育がストップしていた野菜たち。「いよいよ今年は(4月のセット再開に)間に合わないか…」とどぎまぎしていましたが、水を求めて、地下深くまで根を張っていたのでしょう、3日の雨でドカーン、12日の雨でズドーン!と大きくなり、ここ3週間ほどで新緑あふれる畑になりました。

 今年は寒さが厳しかったせいもあるのか、初物が大変美味に感じられます。 特にレタスはいい出来で、鮮やかな赤色のキャトルセゾンレタス、美味タス、リーフレタスがわれ先にと出荷を待っています。ベビーリーフは育ちすぎてしまったので、ベビー改めボリューム満点の「大人の」サラダセットとしてお届けするつもりです。

 いっぽう今年は春大根の肥大が遅く、皆様にお届けできるのも遅れてしまいそうです。今年から品種を「春神楽」というものに変えたのですが、肉質が緻密で、サラダも煮物もおいしいかったです。

 4月下旬からは、エンドウ豆にそら豆、カリフラワーにキャベツなど、目まぐるしい収穫ラッシュが始まります。 (友亮)

 

春の旅

  野菜セットお休みの期間、2泊3日で高知に住む布作家・早川ユミさんの家へお邪魔してきました。

 高知の山のてっぺんで土着的な衣服をつくりながら、自分で米や野菜を育て、みつばちを飼う。自分や陶芸家の夫・小野哲平さんの弟子たちとともに台所に立ち、食を囲む。「しごとがくらし、くらしがしごと」といいながら、くらしとしごとの境目がなくなるくらい、土と布と食べものの間を行ったり来たりくるくると絶え間なく動くユミさん。

 私たち家族も一瞬ではありますが、そのうずのなかにポンっと混ぜてもらい、餃子を一緒につくったり、大きな布の上で一緒になってごはんを食べたり、手もみ紅茶を飲んだり。畑を案内してもらい、生ごみコンポストを見せてもらい(台所と畑で食べものが循環していく)、コンポストトイレの話もしました。

 弟子や元弟子、子や孫や…大勢の人とのかかわりのなかで、しごとやくらしが営まれていくようすは圧巻で、懐かしくてあたらしいコミュニティの姿に映りました。ともすると畑に2人きりで閉じこもりがちになる我々にとっても発見に満ちた場所で、風通しよく畑をひらいていくためのヒントをたくさんもらいました。

 そしてユミさんの手づくりの衣服のうつくしいこと!

 使い込まれ、つぎをあてられた服が畑となじんでいて本当にすてきでした。編集者時代に一緒に服つくりの本(『種まきびとの ちくちくしごと』)をつくったこともあり、もんぺは野良着として欠かせないものになっていますが、シャツやエプロンもつくりたい欲がうずうず…。隙間時間を集めてまたちくちくしたいと思います。 (照手)

◎ユミさんの新刊『はじめてのちくちく絵本』(3巻組み)もめちゃくちゃすてきな絵本です。ぬいぐるみにおまもりにワッペン。シャツにズボンにスカート、かばん。ちいさな子どもも、はじめてちくちくする大人も、見ていたら手を動かしたくなること間違いなしです(我が家の4歳児も「あれつくりたいこれつくりたい」と大騒ぎ。さっそくワッペンをつくりました)