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みどりの通信 2024年5月号 STOP GENOCIDE

 昨年、私自身が出産したばかりの赤子を抱いているときに、ちょうど同じくらいの新生児たちが、イスラエル軍に包囲されたガザの病院で、電力が尽きた保育器から出されてベットに集められている写真を見ました。それ以来、ふとしたときに、あの赤子たちの姿がちらちらとまなうらに現れます。

 パレスチナ、ガザ地区での虐殺がはじまって200日以上が経ちました。「助けて」という言葉も持たない赤子や幼い子どもが、身体の不自由な人や妊婦が、老若男女問わず無辜(むこ)の市民が、イスラエル軍による爆撃で、飢えや栄養失調、感染症で、いまのいまも亡くなり続けています(*1)。

 どうしてこんなことが許されるのか。なぜ国際社会はこの虐殺を止められないのか。その訳を少しでも知りたいと思い、本をめくり、専門家の人が話す動画やラジオを聞いています。そうするうちに、これまで知ろうとしてこなかったパレスチナの抑圧の歴史や、自分がいる世界の仕組みや構造というものが少しずつわかってきました。

 野菜や畑とは関係ないのでは?と思われるかもしれませんが、この輝かしい初夏の空の下で起こっていることを同じ人間として考えたいし、何とかしたい。野菜に添える便りを通じて、少しでもそんな気持ちをシェアできればと思い、この間知ったことや考えたことを書いたので、読んでいただけると幸いです。

 

 イスラエルは、もともと土地に住んでいたパレスチナの人びとを追い出し、ヨーロッパ各地にいたユダヤ人が入植することによって建国されました。ガザ地区は1967年以来イスラエルの占領下となり、2007年以降は「完全封鎖」されて自由な行き来だけでなく、生きていくために必要な燃料や食料も制限されています。この17年の間、ガザの人びとは袋のねずみ状態で、何度も海から空から陸からの軍事攻撃を受けています。 パレスチナの人びとへの攻撃をこれまで国際社会が許し、さらには欧米諸国がイスラエルを経済的にも軍事的にも援助してきた背景には、欧米人が持つアラブ人やムスリム、アジア人などに対するレイシズム(人種主義、人種差別)が根底にあると指摘されています(*2)。歴史の授業で習った理不尽な植民地支配や人種差別は終わったことではなく、形を変えて今を生きる人たちに影を落としていたのです。欧米諸国に追随する日本もまた、この図式に加担してきました。こうしたことを知ることは、いままで疑ってこなかった常識が覆ることであり、寄って立っていた足元がぐらぐらと揺れるようなことでした。

 一縷(いちる)の希望は、いますぐこの虐殺をやめろと、世界のあちこちで声が上がっていることです。アパルトヘイトに苦しんできた南アフリカの人たち。アメリカでの学生運動。イスラエル内外に住むユダヤ人のなかからも。日本でもパレスチナに連帯を示すデモやスタンディング、ボイコット運動、署名運動や寄付活動が行なわれています。 

 命からがらの「助けて」の声への応答があることは唯一の救いです。私たちもいつ、同じような窮状が降りかかってくるかわかりません。叫んでも叫んでも暴力が見過ごされ、応答がない世界に暮らすというのは本当に地獄です。だからこそ、この片田舎の畑からも微力であれ、それらの活動に連帯し、共に声を上げたいと思います。

 興味のある方はぜひ本や動画を見てみてください。パレスチナへの連帯を示したい、という方、ステッカーや服などにつけられる布パッチも手元にあるのでお声がけください。 (照手)

 

*1…現在(4月29日時点)停戦案の協議が行なわれようとしています。どうなるかはわかりませんが、仮に攻撃が一端停止したとしても一件落着、長年続く問題が解決するわけではありません。

*2…アラブ文学者の岡真理さんの講演録『ガザとは何か―パレスチナを知るための緊急講義』(大和書房)に詳しい。10月下旬に早稲田大学と京都大学で行なわれた講義録がもとになっているだけあり、とてもわかりやすいです。

本が手元になくても講演自体はIWJの映像がYouTubeに上がっているので、こちらでも見ることができるようです。