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みどりの通信 2023年7月号 恋し恨めし夏野菜/トマトと麦の相性

恋し恨めし夏野菜

《地面の下からころげでた やさいのにおいはすばらしい。

 きゅうりの青いぼ、なすのへた、とても、もぎたて、むずがゆい。

 サラダと青ねぎ、夏だいこん、朝からぷんぷんにおいます》

 

 ふと目をやったレシピ本にこの詩(北原白秋「やさい礼賛」)があり、ああいいなあと思いました。

 7月1日現在、まだ梅雨はあけていませんが、うちの畑からも夏野菜が次から次へと、それこそころげでてきます。

 トマトやピーマンのあおいにおい。ゆでたての枝豆やとうもろこしのあまいかおりにぱりぱりとみずみずしいきゅうり。なんともたまらず、夏が来たなあと思います。紫蘇やバジルもさわやかなにおいがぷん。かぐだけで元気になります。

 夏野菜はとれはじめるとどかっととれ、とってもとっても出荷しきれないほど。といって木にならせっぱなしにしているわけにはいかないので、湿度120%の畑で、息もたえだえ収穫しながらうらめしく見上げることも。それでも季節はくるくると回り、そんなことを思っているのもきっと一瞬です。8月に入れば暑さに弱いスーヨーきゅうりが姿を消し、いんげんもパタッとなくなり彼らのことを恋しく思う日がすぐにくるのです。

 なのでせっせととっては今だけ今だけと毎日もりもり食べています。(いんげんは梅干しとつゆでさっと煮た梅煮をたっぷりつくって冷やしておくと蒸し暑い日もするする食べられます。冷たい煮汁で茶漬け風にしてもおいしい。)

 ということで、きゅうりといんげん、なす、ピーマンがたくさんとれる間、ほしいという方がいましたらプラス200円で2倍量お入れします。ご希望の方はお知らせください。(照手)

 

トマトと麦の相性

 今年もトマトの季節がやってきました。品種は例年どおり、中玉のサンティオ(加熱向き品種)、ミニのロッソナポリタンの2種類で、今年はサンティオの調子がよさそうです。

 例年はトマトを植えた条間(通路)にワラを敷き詰めて雑草が生えてこないようにしていたのですが、今年はそこに麦をまく、リビングマルチ(生き草マルチ)という技術を導入してみました。

 トマト定植と同時に播いた麦はぐんぐん育つのですが、夏の暑さで自然に枯れ果て地面を覆います。これで雑草の発芽を阻害する、というのが狙いだったのですが、思わぬ副産物がありました。

 例年だと、トマトが色づいたころに雨が降ると、急激に実に水分が吸収されることで皮が割れてしまい、出荷できなくなっていたのですが、今年はそれがかなり少ないです。通路に育つ麦が雨水を程よく吸ってくれて、急激な水分吸収を抑えてくれているのかもしれません。

 仮説を立て、実践して、うまくいったりいかなかったり。これぞ小さい農業の面白さだなとおもっています。(友亮)

 

《おまけ》

 同じく今年初挑戦した半不耕起栽培のかぼちゃ。冬の間に播いておいたライムギをかぼちゃの敷きワラマルチに使ってみたのですが、こちらは失敗してしまいました…(畑の土の状態や植えつけ時の地温などいろいろ問題が考えられます)。これにより、皮が緑の品種「メルヘン」の収穫がほぼ見込めないので、別の畑に作付けた赤皮かぼちゃの「べにくり」がセットに入ります。栗のような甘みがあるかぼちゃです。