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みどりの通信 2023年6月号 赤玉ねぎとピラウ/グリンピースと妊婦

赤玉ねぎとピラウ

 今年の玉ねぎは形よし、味よし、大きさよしで、これまでで最高の出来でした。例年の倍以上の収量となり、収穫物を入れるコンテナが足りなくなってしまうほどです。

 皮がルビー色の赤玉ねぎもつくっていて、さいさいセットにも入れています。スーパーなどではあまり見かけませんが、サラダにしたときに彩りがきれいなのと、加熱調理でもうっすらピンク色が残って料理が華やかになるので気に入っています。あと、私が15年前に住んでいたタンザニアでは玉ねぎといえば赤玉ねぎ一択で、その頃の思い出もあってつくり続けいているというのもあります。

 タンザニアでは、赤玉ねぎをふんだんに使ったピラウ(スパイス入り炊き込みご飯)が絶品で、むこうに住んでいた頃はしょっちゅう自分でつくっていました。が、どうやってもタンザニア人がつくる味にはならず、レシピ通りにつくっているのにと不思議でした。 ある日、勤務先の中学校の卒業式で、ピラウの調理に駆り出されました。村のママたちに交じって野菜を切っていたのですが、彼女たちは左手に持った赤玉ねぎを、右手の包丁で外側からそぎ落としながら下の鍋に貯めていました。このときみんなでおしゃべりしながらけだるそうに切るのです(タンザニアではまな板で食材を切る習慣がない)。できあがった玉ねぎは大きさがまちまち。私が料理するときはくし切りか薄切りで、均等の大きさなるように切っていたので、もしかしてこの切り方がポイントなのでは?と思いました。

 数日後に友達を家に呼び、世間話をしながら雑に切った玉ねぎでピラウをつくってみたところ、タンザニアの味にぐっと近づきました。玉ねぎの切り方一つでこうも味が変わるのか!と驚いた経験でした。(友亮)

 

《ピラウのレシピ》

 お米を洗ってザルに上げ、水切りをしている間に野菜を切ります。玉ねぎは、大きさがまばらになるよう雑に切り、ジャガイモもざくざく粗く切ります。豚肉や鶏肉、羊肉など、好みの肉を大きな塊になるよう大胆に切ります。

 たっぷりの油をしいた深鍋に、つぶしたにんにくを入れ、香りが出たら玉ねぎと肉を炒めます。火が通ったら、ジャガイモと洗って水切りした米を入れて炒め、全体的に香ばしくなったらクミン、コリアンダー、赤唐辛子、シナモンを入れ(スパイスがなければSBのカレー粉でも)、塩、米と同量の水を入れて炊き込みます。中火で10~12分ほどで火を止め、10分ほど蒸らせば完成。タンザニアのハレの日のごちそうです。

 

グリンピースと妊婦

 個人的な話になりますが、妊娠7カ月となり、このところお腹がムクムク大きくなってきました。たぷたぷに水の入った金魚鉢を常にかかえているような感じで、たまにぽこぽこっ、ぴちゃんぴちゃんとなかのひとが動く。おっとっとお腹をおさええっちらおっちら、仕事はのろのろとしか進みません。

 この動きにくさに加え、風邪でも胃腸炎でも罹ると治りが悪かったり、花粉症がいつにも増してつらかったり、体のあちこちにかゆみが出て肌がぼろぼろになったりと産む前からよろよろしています。ふと、畑を見ると、まるまる太ったグリンピースがぶらんぶらん。大きくなった豆を腹にかかえたさやは、ぱんぱんにふくらんだ状態で雨風にさらされ、カビけていたり、傷だらけ(さやに守られている豆は無傷)。

 「あ、これ、いまの私と一緒だ」と、グリンピースのさやに親近感。ぼろぼろのさやのおかげでこれが味わえるんだよな…と感慨深く豆ごはんを食べたのでした。

 これから迎える夏がいつにも増しておそろしいのですが、いろいろな人の手や知恵を借りながら、なんとか無事に乗り切りたいです。 そして、出産予定の9月上旬から1カ月ほど、野菜セットはお休みさせていただきたいと思っています。みなさまにはご不便ご迷惑おかけしますが、何とぞよろしくお願いいたします。(照手)