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みどりの通信 2022年8月号 ムシとの戦い、終わりが見えず/スーヨーのいない夏 Vアーチの憂うつ

ムシとの戦い、終わりが見えず

 6月はピーマンのアブラムシに苦しめられましたが、7月はトマトのタバコガに手を焼きました。夜になると畑に飛んでくるタバコガ。トマトの花に卵を産みつけ、孵化した幼虫は実を食べながらすくすく育ちます。食害に遭ったトマトは真っ赤に色づくので、「お、食べごろのトマトだ!」と思って収穫すると、穴が開いていることがよくありました。特にミニトマトの「ロッソナポリタン」の食害がひどく、収穫した実の7割が穴あき…なんてことも。実の中に幼虫がいることも多いので畑に捨てることもできず(幼虫が羽化して次世代が産まれてさらに増えてしまう)。ダメな実をビニール袋にその都度入れて密閉し、太陽熱で実ごとやっつけるなんてことをしていました。そんなことを2~3週間も続けているうち、ようやっと食害が減り、セットに入れられるようになってきて、ほっと一安心。すると今度はナスにニジュウヤホシテントウ! オクラにハマキムシ!ピーマンにカメムシ!

 …ムシとヒトの野菜の奪い合いには終わりが見えません。(友亮)

 

スーヨーのいない夏

Vアーチの憂うつ

 夏といえばきゅうり。きゅうりといえば夏。農家になるまではずっとそう思っていましたが、じつはきゅうりは極端な暑さには弱く、お盆前後の一番暑い時期になると、樹がバテて収量がガクッと下がります(体はもうきゅうりしか受けつけない!という感じになっているのに)。ということで、普段うちでは「四葉(スーヨー)きゅうり」という昔ながらのイボイボトゲトゲのきゅうりを育てていますが、猛暑の間は一端姿を消し、「V(ブイ)アーチ」という暑さに強いきゅうりがメインになります(名前も強そう)。

 Vアーチ、猛暑でもとれるきゅうりということでありがたいひとなのですが、スーヨーに比べるとやや味が劣ります。なのでスーヨーがとれている間は、「ああVアーチか。君はまだそんなにとれなくてもいいよ」と言われ、スーヨーが少なくなってくると「しょうがない、Vアーチを入れるか」と言われ、かなりぞんざいな扱いを受けています。Vアーチにしてみれば、「これだけ暑くても健気に毎日せっせと実をつけてるのに、なんだい。なんだい」と面白くないわけで。

 スーヨーがまったくとれなくなると手のひらを返したように「やあ、Vアーチがあった。よかった、よかった~」とありがたがる都合のよい我々。収穫するたび、「味が劣るっていうけど、それは君らの料理の腕のせいじゃないかい」とチクっといわれているような(スーヨーに比べてトゲは少ないですが)気がするこの頃です。  (照手)

                

※ということで、今年ハマったきゅうり料理「干しきゅうりの炒め物」をご紹介。

 きゅうりは5㎝の拍子木切りにして、半日~1日ザルなどに広げて天日に干し、表面が乾く程度のセミドライにします。

 使うときは、フライパンに多めの油を熱し、つぶしたニンニク、好みで輪切り唐辛子を入れて香りが出て来たら食べやすい大きさに切った豚肉、拍子木切りのエリンギを順に入れ、最後にセミドライきゅうりを投入。味つけは塩こしょうだけでシンプルにしても、ナンプラーやオイスターソースでアジアンな感じにしても。他にも炒り卵や春雨を入れたり、豚肉を鶏肉やエビ、イカなどの魚介類にかえてもおいしいです。

 セミドライにすることで、うま味や甘みがぐっと増し、食感もコリコリと楽しい。カサも減るのでたっぷり食べられます。 さいの目に切って干したものをひき肉と混ぜて具にした水餃子も美味です!

 ちなみにセミドライなので、長期保存には向きません。2、3日で食べきるのがよいです。