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みどりの通信 2022年7月号 夏の予行演習/アブラムシはどこへ消えた?

夏の予行演習

 6月は目のまわるような忙しさでした。夏野菜の収穫に、梅雨の合間の麦わら集め、夏野菜の植えつけ、誘引、わらしき作業に草刈り、片付け、じゃがいも掘り…。今年から少し畑を増やしたこともあり、手が回らず、追い立てられ、追い越され、周回遅れで待って待ってと追いかけている感じです。

 それに加えて下旬からの猛烈な暑さ! こうなると新年の抱負はどこへやら、あれを育てたい、これを食べたいつくりたいという話をする人はいなくなり、ただ日々畑へ出て、必死で生きて戻って、泥のように眠るだけ。40℃に迫る暑さのなかでは、文化も何もかもがふっとびます。家では半裸の人がよろよろと歩き回り、風呂場には水を浴びる人が行列をつくり、ご飯は炊いても減らず、麦茶があとからあとからなくなっていく…。

 恐ろしいのはまだこれが6月だということ! このままだと夏の本番となる7、8月はどうなってしまうのでしょう。考えるだけでくらくらしていましたが、7月2週目に入って一端暑さの波は引き、湿度がやってきました(それはそれで息苦しいのですが、生命の危機を覚えるほどの暑さに比べればまだましです)。カラカラになっていた夏野菜たちもこれでなんとか持ちこたえてくれそうです。

 と同時に草たちの勢いもいや増して、またまた草刈りに追われることになります。(照手)

 

《余談》

 6月30日、私たちの暮らす寄居町の最高気温が39・8℃となった日、厳寒期に干していたカチカチの凍み大根を戻して煮物にして食べました。毎日マイナス3~4℃が続いていたあの頃の寒さを少しでも思い出せるかなと期待しましたが、味のしみた大根からはおいしい煮汁がじゅわじゅわと出てくるだけでした。

 

アブラムシはどこへ消えた?

 先月に引き続き、アブラムシの話です。

 6月初旬、アブラムシが大発生し、収穫が危うかったピーマン&甘長とうがらし。およそ一カ月が経ち新芽を観察してみると、ほとんどいなくなっています。おかげでそれぞれ豊作で、7月からの野菜セットにも入れられそうです。

 ところでなぜアブラムシはいなくなったのでしょう?

 6月上旬、例年よりも早い梅雨入りで、晴れ間なく激しく雨が降り続きました。大きな雨粒に叩かれ、新芽にしがみついていたアブラムシの多くは弾き飛ばされてしまいました。

 そこで生き残ったタフなやつらも、梅雨の中休み、寄生蜂(アブラバチ)にお尻をちくちく刺され、体内に産み付けられた蜂の卵が孵化すると、最後は体を食い破られて昇天。寄生蜂の成虫が意気揚々と旅立っていきます。

 それでもサバイブしていた猛者どもも、6月下旬からの酷暑はたまりません。寄居町では最高気温38℃を超える日が6日ほど続きました。アブラムシは気温が高くなると生育が発育が悪化し、生殖能力が無くなってしまいます*。連日続く暑さで軒並みKO(私たちもですが)されてしまったというわけでした。(友亮)

                

*アブラムシは体内に「ブフネラ」という共生微生物の住まわせ、自身で合成できない必須アミノ酸をつくらせている。このブフネラは暑さに弱く気温が高くなると数が減少。これによりアブラムシの生育が悪化する(現代農業2017年6月号)。