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みどりの通信 2021年4月号 怒涛の春/春を摘む

怒涛の春

 3月上旬、トンネルの中の大根、レタス、菜っ葉など、待てど暮らせど大きくならず、「4月のセット再開に間に合わないかも…」という不安から、お腹が痛くなる日々を送っていました。ところが中旬からの気温の上昇と恵みの雨で、待ってましたとばかりにぐんぐん成長。新緑がウネを埋め尽くすといった感じで、畑では春が爆発しています! 

 レタスと菜っ葉は例年よりも豊作なので、ちょっと多めに入れるつもりです。3月送れなかったぶんまで、もりもり食べてもらえるとうれしいです。    (友亮)

 

春を摘む

 菜花が好きです。ぷわんと香る甘やかなにおいに、株からぴょこんぴょこんと伸びてくるつぼみたち。畑でぽきりぽきり摘んでは春のおとずれに身を浸しています。

 菜花にとってみれば、実をつけ子孫(タネ)を残そうと必死に花を咲かせようとしているところ。それを摘まれるのだからたまったものではないですが、でも、それだけにつぼみにはぎゅぎゅっとエネルギーが詰まっている気がして、食べるときはなんともいえぬ感慨があります。摘んでも摘んでもめげずに脇芽から次々つぼみを出す姿も健気。放っておくと花が咲いて葉も茎もかたくなってしまうので(見た目にはきれい)、我々も負けずに摘んでは食べ摘んでは食べする毎日です。

 いっぱんに出回るのは、油をとるための「ナタネ」の菜花が多いようですが、小松菜や白菜、キャベツ、高菜など、ナタネ以外でもアブラナ科の菜花はなんでも食べられます。味や食感、調理法など特徴があるので、少し紹介します。

 紅菜苔は菜花専用につくっていますが、それ以外は秋冬に作付けた葉物や結球野菜のうち、余分にできたりとりそびれたりしたものをそのまま畑に残しておき、春に収穫しています。    (照手)

 

●チーマディラーパ…イタリア原産。菜花のなかではめずらしく冬場から収穫できます。苦味がしっかりあって、ナッツのようなコクもあります。うちではくたくたにゆでたものをパスタにするのが常です。

●紅菜苔(コウサイタイ)…春一番の菜花。細い茎はサクサクとした食感でアスパラガスのよう。中国の菜花だからか、多めの油で炒めるとおいしい。花が咲いても他の菜花のようにかたくならずに食べられます。

●小松菜の菜花…くせがなく、細身で食べやすいのが特徴。ゆでるても炒めても蒸してもおいしく万能です。さっとゆがいて辛子マヨネーズ醤油をかけるのがお手軽。ごまペーストで和えたのや白和えも美味です。

●白菜の菜花…茎が太く、甘くみずみずしい菜花。白菜らしさを感じます。菜花界?で一番おいしいという人もいます。うちではゆでておかか醤油が定番。

●キャベツの菜花…コリッとした食感で濃厚な味わい。ごま油をからめて塩ぱらり、醤油たらり、黒こしょうごりごり挽くのがおすすめです。

●高菜の菜花…ツンとくる独特の辛味があり、九州では「鼻はじき」ともいわれるそう。普通高菜漬けは冬に株ごととった高菜を使いますが、阿蘇では春につぼみを漬けていると知り、今年自家用に少し漬けてみたところ、おいしかった。来年はもう少し増やしてセットにも入れられるといいのですが。

春は生育が早い
春は生育が早い