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みどりの通信 2020年9月号 きんぴらとうどん/憎し 畑の草食系生物

 

●きんぴらとうどん

 畑から車で10分ほどのところに、てぶちめんこ千代屋という、手打ち麺がおいしいうどん店があります。かけうどんに揚げたてのコロッケをのせ、箸で崩しながら食べるのが至福なので、たびたび通っていたのですが、ある時、自分以外のお客がみな、うどんと一緒にきんぴらごぼうを頼んでいることに気がつきました。甘辛いきんぴらは白米と食べるか、酒の肴というのが故郷函館の常識で、うどんの付け合わせというのは聞いたとがありません。頼んでみたところ、これが絶品。香り高くジューシーで甘辛くおいしかったです。

 とはいえきんぴらは味が濃くて、喉が乾きます。この乾きをかけうどんのスープで癒すのがまた至福で、そこに崩したコロッケも一緒に流れてきてきたら至福ダブル! みんながきんぴらを頼む理由がわかった気がします。

 ところが4月、コロナ渦で千代屋も営業自粛に(今は営業しています)。自分の体はきんぴらを渇望するきんぴらジャンキー状態。気づくとやたらめったらごぼうをまいて、結果、去年の3倍作付けていました。そして9月、ぼちぼちごぼうが育ってきました。春にんじんを冷蔵庫で貯蔵しているので、近いうちきんぴらセットがお届けできるかと思います。ぜひ一度、うどんと一緒に食べてみてください。(友亮)

 

●憎し 畑の草食系生物

 春から秋にかけて、みどりのの畑はさまざまな生きものたちの楽園となります。足を一歩踏み出すとコオロギやバッタ、カエルがぴょんぴょん。きゅうりの枝に手を伸ばすとみつばちがブーン。

 一見にぎやかで楽しそうですが、彼らの生き死にに今シーズンの野菜の出来がかかっているので「これは敵、これは味方」とそれぞれが私たちにとって良い虫(益虫・えきちゅう)か、害虫か瞬時に区別していかなければなりません。益虫への対応としては微笑みかけるくらいでよいのですが、害虫の場合にとる行動はひとつ、捕殺です(名前も生態もわからない虫はとりあえず放置)。今だと、ナスにたかるニジュウヤホシテントウ。オクラにまとわりつくカメムシ、きゅうりを食い荒らすウリハムシ。極めつけは三尺ササゲに穴をあけて食べまくるガの幼虫。

 彼ら害虫は皆、肉は食わない「草食系」の生きものたちです。草食系というふわふわした言葉に似つかず、かなりがつがつ野菜を食べたり吸います。見た目も割と邪悪だったり気持ち悪く思えるのは、私たちの天敵だからでしょうか。

 反対に、「肉食系」の生きものたちのほうがかわいらしく、愛らしい。アブラムシを食べてくれるナナホシテントウに、いろんな虫を食べるカエルやトカゲたち。あちこちで巣を張り、イモムシやケムシの親にあたる蛾を食べてくれるクモもありがたい存在です。

 生きものたちにとっては草食系も肉食系も関係なく、それぞれただ必死に生きているだけですが、私たちだって必死です。草食系の彼らのことを野放しにすることはできません。出荷の際にも野菜に奴らがついていないか、かなり時間をかけてチェックしていますが、目視には限界があり、ササゲから幼虫が顔を出していた時にはどうかご容赦ください。

 これが言いたいがために長くなってしまいました。(照手)